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何も無い生温いピンク色の海に腰まで浸り歩く。生温い水――ぬるま湯というのには冷たく――は限りなく透明なのに、足が確かに踏んでいる筈の地面は見えなかった。足元が見えない不安、いつか何かを踏み抜いて生温い海に沈む様な気がした。灰色に淀んだ空からは白い雪が降る。然し寒くは無い。生温い水は何処迄も続き、地平へ視線を向ければピンク色と灰色のコントラストに目眩がした。水を掻き分ける以外の音はしない。雪が降る中を、雪崩に注意する山岳隊の如く静かに進んで行く。生温い海に生物は何一つ見えなかった。歩いても歩いても水深は変わらず、陸地も見えない。ただピンク色の海と灰色の雲に覆われた空があり、雪が柄を付けていた。隣には誰もいないはずだが彼がいた。いた筈だったが誰もいなかった。彼は仁多無だった。だから私は一人だった。水を掻き分けて進む速度は段々と落ちていく。寒さはないが疲労は蓄積されていく。しかし辺りは一面薄い色の水ばかりで休める場所はなかった。座れる岩すら何処にも無かった。顔を巡らせれば水音が微かに立つ。直接に座るには深く、力を抜いて水に漂うに任せるにしても、この水に果たして浮かぶ事が出来るのだろうかという漠然とした不安があった。塩ゼリーに落ちた三の七匹蟻の如く、浮かぶ事も起き上がる事も出来なくなるのではという不安。疲労した足を尚も引きずって行くのは其れだった。体温を奪っているのか保持しているのか分からない生温さ。行けども行けども使波は起こらず、掻き分ける場所から遠くの部分は凪のまま在る。曇天を見ながら何れだけ歩いただろう。代わり映えのしない景気は同じ所を回っているという錯覚――或いは事実――を感じさせた。果ては存在するのか分からない。惰性で動かしていた足が疲労でもつれた。何も無い場所で、自身の足に引っ掛かり無様に転ぶ。顔から生温い海に飛び込み、水を飲みながら悲鳴を上げようとした。しかし次の瞬間に、確かに水に突っ込んだのに息が出来る事を知る。思わず目を見開くと、其処には、底には、煌めく空間があった。驚愕に瞬く。海底には透明な床が存在しているようで、目には何も見えない場所で伸ばした手が止まった。生温い海の中はやはり生温かったが、ピンク色の薄いフィルタが掛っているように見える以外は全く鮮明だった。手を付いて水面の上に顔を上げると、ピンク色の海と灰色の空、白い雪が変わらず続いている。決意してもう一度、生温い水に潜った。生温い空気に包まれた感覚を覚える以外は水上と何ら変わりなかった。ただ確かに其処は水中だった。手を揺らせば纏った布はゆらゆらと漂う。何も変わりないのに確かに其処は水中だった。透明な床の下では、宝石の様な物が何処かの光を反射して輝いている。無数の光。何色もの輝き。硝子玉を日光の下に置いた時より遥かに強く美しい煌めき。底に寝転び観察する。そちら側も動きは無く、光はただ静かに其処にあった。光源だけは移動しているのか、私が動かずとも反射光は明滅し自らの色を変えさせる。眺めていた時間は歩いた時間よりも長かったか短かったか。信号に喰らい付く子供の様に眺め続け、一先ず観察に満足すると、私は仰向けになった。そこで新しい事実に気付く。透明な床の下で輝く光が、ピンク色の海面に反射して拡散していた!私はピンク色の生温い水の中透明な海底で無数の光を浴びながら溜め息を吐いた。
(そして12本目の指を開く)
部屋に入ろうとしたら階段にいた猫に威嚇されました!
いや威嚇されても階段使う他無いんだけどね!?
あー、イグニッションすれば二階位まで跳べる……いや無理だねうん!
エアライダーの人だって上からが大丈夫なだけで下からは行けないだろうしねぇ。
そういやこの間、暗くなってから学校から出たら芝生みたいな所に猫が塊になってたんだけど。
三匹だか四匹くらい。
別に木の下とかでも何でもなかったんだけど暖かいんかな……!
後、手紙の話、鶴岡八幡宮にあんなに入るのかねぇ……。
や、菫ちゃん行った事無いから分かんないけどさ! 広いの?
やっぱりこれも行く人は気を付けてって感じかな!