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買い物に行こうとしたら、襟首を誰かに引っ掴まれた。
自分より背の低い相手に後ろから掴まれたせいで、喉が圧迫されて呼吸が止まる。
思わず屈み込んだら、背後から緊張感の無い声が降ってきた。
「何だ、いきなり蹲りよって。人の話を聞け」
「……あのさ、人間ってさ、普通いきなり首絞められたら話せないって分かってる?」
「さあ? わしゃあ首絞められたことないから分からんなぁ?」
「あっはっはっは今すぐ絞めてあげようか! 全力で!」
「老い先短い年寄りの寿命を縮める気なのか、最近の若いもんは!」
「老い先短い年寄りが若いもんの首絞めないでくれるっ!?」
のろのろと振り向いた先にいたのは、アパートの大家。多分六十前後。
聞くたびに年齢が違うのでもう推測でいい。
というか、もしかしたら本人も覚えていないのかも知れない。
「んで何の用さ爺さん。菫ちゃん買い物出るんだけど!」
「男子が自分の名前にちゃんをつけるな。つけていいのはわしの孫みたいな可愛い女子だけだ!」
「孫自慢なら聞かないよ?」
「自慢じゃなくて本当のことしか言わないんだよわしゃあ。だからもう愛美はそりゃあ可愛くて、『まなみちゃんねー、がっこうでねー』ってそりゃもう可愛い」
「あの私お腹空いたんでさっさと夕飯の準備しに行きたいんだけど!」
「買い物に行かんでもお前がちょっと飢えるだけだろう!」
「飢えるの嫌だから買い物に行くんだよっ!?」
踵を返しかけたら服の端をがっちりと掴まれた。
いい年の癖してやたら握力がある。
「まあ聞け。そんな可愛い愛美に面白いお話でもして喜んで欲しい訳だ。ついでに武勇伝とかを話して『あっちゃんかっこいー』とかそんな感じに言われたい」
「……爺さんの名前、豊次郎じゃなかったっけ?」
仕方なく振り返れば大家は掴んだ端を離さないまま手を振った。
「あれだあれ、テレビに出てる何とかラジオ。愛美が大好きなんだ」
「テレビなのにラジオなの? 何にせよ私、テレビ見ないから分かんないけど」
「テレビの申し子世代の癖に生意気な!」
「無茶言わないでくれる!?」
段々高くなる声に、通りすがりの主婦らしい女性がちらりと視線を向けてくる。
それに気付いて双方とも声を抑えた。
ついでに屈みこんだので、傍からは何だか黒い相談でもしている図にしか見えない。
六十の爺さんと高校生が何を密談するのかまでは不明だが。
「で、だ――『実は爺ちゃんは昔は変身ヒーローだった』ってのと、『実は爺ちゃんは昔は海賊だった』っての、どっちがいい?」
「要するにいつも通りホラ話作って話すって事ね。前者はともかく後者の意図が分からない私!」
「ああ海賊はあれだ、やっぱり愛美がパイレーツなんちゃらが好きでな。やっぱり女の子だから変身ヒーローは面白くないか?」
「私女の子じゃないからその辺は何とも」
「考えて想像しろ、七歳の女の子の心情を!」
「無茶言わないでよ。っていうか一人で考えてよそれはっ!」
「年寄りの言うことは聞かんと後悔するという言葉を知らんのか!」
「それは教訓とかの話でしょ! この状況では適用されないと思うってヨシアキア五三六の友人も言ってるし!」
「そりゃヨシオだか誰だかが日本文化を知らんからだ!」
「誰ヨシオってっ!?」
「いいか、年寄りの言うことを聞かないとだな、夜中に『妖怪ピンポンダッシュ』が現れ」
「あからさまにそれ犯人爺さんだよねっ!?」
「それが何か。まあうちはインターホン無いからノックダッシュだがな」
「うっわ自分のアパートだと思って開き直ったよこの年寄り……!」
(普段はこの位のノリで生きてると思います)
ていうか大家が振り切り過ぎ!!
なんだこのヤリ手爺!一度会わせてくれ!!
遅くなったが、結社設立おめでとう。
結社棟の中でも不気味な存在感を放ってくれることを期待しているぞ!
青い深淵の漂流教室に、幸あらんことを!
菫ちゃんって最近ツッコミ担当よねぇ、無法地帯なデスパのツッコミ担当っていうの?(さらりと)
こうゆーおじーちゃまがそのうち、うちの孫なんかどーじゃ、とかいって薦めてくるのよねぇ(なんのフラグだよ)
結社はそのうち張り切って友好繋がせてください!なのよぅー(笑)
あ、うちの鈍器好きな子がお世話になってます(大家的挨拶)
ボケも何も菫ちゃん大抵の場合真面目だよっ! ごめん嘘だけど!
それは置いといて突っ込みっていうか、会話どうにかして切らないと延々続くんだよこれ!
どうにかしてくれるんだったら是非。
多分いっつも話し相手探してると思うから!
祝辞も有難うね!
あは、目立たない場所だからそんなに気付く人もいないだろうけど!
玖凪クン>
……素敵かなぁ?
役割がどうかは知らないけど、無法地帯には軽く同意!
無法っていうか、うん、何だろう、菫ちゃん適切な言葉が見付からない!
いや流石に孫七歳だから薦めてくる様な年齢になる時にはもう私いないと思うんだけど!
友好はいつでも、オープンまで頑張ってねって事で!
あ、いえいえ、大したお構いもしてませんが?(最近覚えた受け答え)